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しんぶん赤旗日刊紙15日付け「きょうの潮流」

 正月明けの昼間に鳴りひびいた警報は、まだ記憶に新しい。二つの地震がほぼ同時に生じたことが原因という5日の緊急地震速報。揺れを感じなかったにもかかわらず一部の電車が止まるなど首都圏は騒然としました▼ニューヨークでは昨年、地下にある駅で銃撃が起きたとの間違った情報がひろがり、逃げ出した多くの乗客らが負傷。誤報であっても巨大地震やテロの恐怖が身に迫っているとなれば緊張や不安は一気に高まります▼弾道ミサイルの脅威。すぐに身を隠して。これは訓練ではない―。こんなメッセージが米ハワイ州の住民や観光客に送られました。車を置いて避難する人、搭乗手続きを中止する空港。地元メディアが混乱ぶりを伝えています▼担当者が誤ったボタンを押した警報システムの誤作動。しかし、核実験とミサイル発射をくり返す北朝鮮への恐れがあるからこそのパニックです。同じようなことは日本でも起きています▼もしそれが戦争の引き金になってしまったら…。互いに挑発し、軍事的な力を誇示する張りつめた空気は、いつ不測の事態を。実際、キューバ危機の時には沖縄の米軍に核ミサイルの発射命令が誤って下ったといいます▼それなのに安倍首相は相変わらず。初訪問のバルト3国でも訴えるのは北朝鮮の脅威と圧力ばかりです。韓国と北朝鮮の南北会談は緊張を和らげ、平和な環境をともにつくることで一致しました。米政権をはじめ世界が対話を歓迎している中で、その異常な姿はいっそう際立ちます。

しんぶん赤旗日刊紙9日付「きょうの潮流」

きょうの潮流

 平穏な生活の場に、突如、米軍機が墜落・不時着する。すると、ただちに黄色いテープで規制線が張られ、現場は立ち入り禁止に。そこが私有地であっても、「許可」なしに立ち入りできない。そんな、植民地のような事態が、沖縄県で常態化しています▼6日午後、沖縄本島の東側に浮かぶ伊計島の砂浜に、米海兵隊普天間基地所属のUH1ヘリが不時着しました。自力で飛行再開できず、8日、別のヘリにつり下げられて移動しました。一歩間違えれば、墜落するような危険な状態だったのかもしれません▼しかし、真相を知ることは困難です。今回の事故も、やはり周囲に規制線が張られ、県警は周囲を警備するだけ。事故に関する捜査権を持っていません。その根源にあるのが、米軍の特権を定めた日米地位協定、なかでも事件・事故に関する刑事裁判権の管轄を定めた17条です▼米軍が「公務中」に事件・事故を起こした場合、第1次裁判権は米側にあるため、日本の警察は米軍が許可しない限り、捜査できません。本来は日本の主権が優先するはずの「基地の外」であっても、です▼17条に関する日米の合意議事録によれば、航空機事故が発生した場合、米軍は事前承認なしに私有地に立ち入り、日米の当局は現場に許可なしに立ち入りできないよう封鎖し、米側が権限を有する。その理由は「合衆国財産を保護するため」です▼米軍の財産を保護するために、国民の財産を平気で踏みつける。この国の主権とは何なのか。事故のたび、強い憤りを覚えます。