民主党や自民党が、国民と国会のパイプを細くする、国会議員の定数削減の策動を強めています。とりわけ今回は、東日本大震災の復旧・復興に要する費用を国民に押し付ける「復興増税」に絡めて、「国民に負担をお願いするのだから、政も官も身を切る」などの口実で、定数削減を強行しようとしているのが特徴です。
国民の意思を締め出す
国会議員の定数削減は、民主党や自民党の年来の主張で、衆院でも参院でも比例代表の定数に的を定めて強行を狙ってきました。
衆院議員は1選挙区でひとりの議員を選ぶ全国300の小選挙区と、全国11のブロックで合計180人を選ぶ比例代表で選ばれています。参院議員は全国1区の比例代表と都道府県単位の選挙区選挙で選ばれています。得票数に応じて議席が配分される比例代表は、国民の民意が議会の構成にストレートに反映される、民主的な選挙制度です。その比例代表に的を定め議員定数を削減しようというのは、国会を通じて国政に反映される民意そのものを削減することになります。ムダを削減するどころか、消費税導入でも米軍「再編」でも、反対する国民の意見を締め出す、政府の思うままに進めることになります。
議員定数を含む選挙制度は、民主主義の根幹にかかわる問題です。議員定数も少なければ少ないほどいいという単純なものではなく、国民の多様な意見が反映することが大切です。日本の議員が多すぎるというのは根拠がありません。議員定数の削減ではなく、「1票の格差」の解消や、民意を正しく反映しない小選挙区中心の制度の見直しこそが急務です。
もともと民主主義に反するそうした定数削減を、「復興増税」などに絡めて持ち出し、強行しようとするのは論外です。民主党などが狙う「復興増税」自体、大企業には法人税の減税をおこないながら、国民には所得税や住民税、たばこ税などの増税で負担を押し付けるものです。定数削減と「復興増税」を、「政も官も身を切る」などの言葉でごまかして押し付けるなど、国民を二重三重に裏切るものでしかありません。
民主党は「復興増税」について合意したさい(9月27日)、「心構え」として「議員定数削減等、国会議員がまず身を切る」「公務員宿舎、国有地、独法法人等の資産の売却の具体化、公務員人件費削減等、官も身を切る」と文書で確認しています。「身を切る」というなら、まず年間300億円にのぼる憲法違反の政党助成金や特権的な高級官僚の「天下り」のための予算を削減すべきなのに、それはありません。定数削減や公務員人件費の削減を押し付けるのは、「政」や「官」が「身を切る」どころか、国民に犠牲を強要するためだけのものです。
反対の国民運動強めて
民主党は「復興増税」だけでなく定数削減など選挙制度についても「与野党協議」を始めたい意向といわれますが、議会制民主主義の根幹にかかわる問題を話し合うのに、国会の正式の場で、構成するすべての党で話し合うのではなく、一部の党だけで協議することになればそれこそ問題です。民主主義を破壊する定数削減も国民犠牲の「復興増税」もやめさせるため、運動を強めることが大切です。