しんぶん赤旗日刊紙「主張」 / 野田政権  「結論を出す」は誰のためか 

  1020DSC_0987-2 「社会保障と税の一体改革」でも、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加でも、米軍普天間基地の「移設」でも、野田佳彦政権の世論に逆らう動きが際立ちます。

 「一体改革」では、消費税増税法案を年明けに提出しようとしているのに加え、年金、医療、介護などの改悪案も相次いで明らかになりました。TPPでは、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)までに交渉参加を決断しようとしています。普天間基地問題でも閣僚が相次いで沖縄を訪問し、年内には埋め立ての前提となる環境影響評価(アセスメント)書を提出しようとしています。

前のめりの首相発言

 野田首相は17日の内閣記者会(記者クラブ)のインタビューで、TPPについては「幅広い視点で議論し、なるべく早く結論を出す」、普天間基地問題については、「なるべく早く結論を出したい」などと、前のめりの発言を繰り返しました。TPPでは交渉参加の方向で、普天間問題ではアメリカと合意した名護市辺野古に新基地を建設し「移設」する方向で、「結論」を出し、実行を急ごうとしているのは明らかです。

 野田首相は「早く結論を出す」といいますが、TPP交渉参加も普天間基地「移設」も国民がこぞって賛成し、実行を待ち望んでいる問題ではありません。それどころか、TPPでは農業関係者が「農業に壊滅的な打撃を与える」と反対しているのをはじめ、医療関係者や中小業者などの間にも反対が広がっています。普天間基地の問題では、新基地建設どころか、普天間基地を無条件で撤去し、沖縄の基地を縮小することこそ、沖縄県民こぞっての願いです。

 国民・県民の願いにそって結論を急ぐというなら、TPP交渉参加や普天間基地の「移設」は直ちに中止すべきです。ところがそれとは正反対に、TPPの交渉参加や普天間基地「移設」で結論を急ぐのは、それが財界やアメリカの要求であり、野田政権が財界・アメリカ直結の政権だからです。

 実際、政権発足以来、“財界詣で”を重ねる野田政権に財界が要求してきたのは、消費税増税など「一体改革」の実行や原発の再稼働とともに、TPP交渉への参加です。一方、アメリカは9月の日米首脳会談でも普天間基地「移設」で具体的な進展を求め、近く来日するパネッタ国防長官も埋め立てを県に申請するよう政府に迫るといわれています。野田首相が「結論を出す」という「結論」が、財界やアメリカの求めに積極的に応えるものなのは明らかです。

 国民が望んでもいないことを押し付けるために「結論」を急ぐことこそ、民主主義をないがしろにするものはありません。「不言実行」が野田首相の持論だといいますが、国民の願いを踏みにじって正反対の「結論」を押し付けるのでは、独裁政治そのものです。

世論と運動強めてこそ

 もちろん、野田政権が財界やアメリカの要求に「直結」して「結論」を出そうと急げば急ぐほど、国民の批判が広がり、反対が強まるのは明らかです。TPPへの交渉参加をめぐる農協などの反対運動の高まりは急激です。

 こうした国民の世論と運動を急速に強めることこそ、国民の願いに反した「結論」を野田政権に急いで出させないために重要です。

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