民主党政権が消費税増税法案の土台となる「社会保障・税一体改革大綱」を閣議で決定しました。消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げることを柱にしています。
「社会保障の充実」「社会保障の安定財源の確保」という「一体改革」の建前は、日本共産党の志位和夫委員長の10日の予算委質問で完全に崩れ去りました。
志位氏の追及にまともに答弁もできなかった民主党政権が、暮らしと経済への破壊的な影響を顧みることもなく、消費税増税法案の強行に向けて暴走しています。
内需壊し税収減らす
「大綱」は消費税収を「社会保障財源化」するとしています。しかし、政府の説明でも5%の増税分のうち「社会保障の充実」に使うのは2・7兆円、わずか1%分です。残りの4%分は、既存の社会保障財源と入れ替わるだけです。結果として既存の社会保障財源は大企業減税などほかの分野に回ることになります。まさに形だけの「社会保障財源化」です。
「大綱」に並んだ当面の計画だけで社会保障の削減は2・7兆円に上ります。「大綱」に「検討する」と明記された年金支給開始年齢の引き上げが実行されれば6兆~10兆円の年金がカットされます。「充実」分をはるかに上回る社会保障の切り捨てです。志位氏の指摘に閣僚の誰も「一体改革で社会保障の全体の水準が上がる」とは答えられませんでした。
「安定財源の確保」といっても消費税増税で景気が悪化すれば全体の税収も落ち込み、絵に描いた餅になります。1997年の消費税増税のときも、その後の景気悪化と大企業減税などで全体の税収は増税前よりも少なくなってしまいました。今回は97年当時と比べても家計所得が大きく減少しています。消費税5%増税の13・5兆円に上る負担増の強行は内需を壊して全体の税収も減らします。
社会保障切り捨ての指摘にまともに答弁できなかったにもかかわらず、岡田克也副総理は「社会保障に手当てすることで安心感が増し、そのことが消費増につながってやがて所得増につながっていく」と答えました。“強弁”以外のなにものでもありません。
消費税の納税義務は事業者に課されています。中小企業の多くは今でも消費税を販売価格に転嫁できていません。日本商工会議所など中小企業4団体の昨年の調査によると、消費税が引き上げられた場合、小規模企業の7割が価格に転嫁できないと答えています。
志位氏に「転嫁できない場合にどうなるのか」と問われた野田佳彦首相は、質問をはぐらかして答えませんでした。首相は財務相をしていた昨年2月の衆院予算委では、同じ質問に「それは自己負担になる」と認めています。身銭を切らされるということです。
世論と運動を広げて
“身銭を切る”とは保険を解約し、自分と家族の給料を犠牲にして納税するということです。10%への増税が雇用の7割を支える中小企業に致命的な打撃を与えることは明らかです。
「一体改革」は社会保障を大幅に切り捨て、経済と財政を共倒れにします。暮らしと経済を破綻に導く民主党政権の暴走を世論と運動の力でストップさせ、法案提出を許さないことが重要です。
消費増税強行の建前に根拠ナシ−【私の論評】野田政権は、アメリカの意図を読み違えて頓挫する!!
こんにちは。野田さんは、消費税増税強硬の建前として、09年度に成立した改正所得税法の「付則104条」の存在だ。自民党麻生政権時代のことである。この104条には、基礎年金の国庫負担割合2分の1や社会保障給付のため、〈遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、11年度までに必要な法制上の措置を講ずる〉とあります。これを根拠としていますが、これができなかったとしても、確かに違法とはなりますが、だからといって罰則があるわけではありません。そんなことをいえば、違憲状態の一票の格差について、民主党は今月25日の勧告期限を平気で延期しようとしています。日銀が、1%のインフレ目処(目標ではありません!)を公表して、デフレ対策のアリバイ作りをした今となっては、野田さんがいくら増税を叫んでみても、全く説得力がありません。それに、野田さんは、悪徳米傀儡政権の樹立をもって、長期政権を目指そうとしていましたが、今となっては、あえなく、アメリカの意図を読み損ねて、頓挫すると思います。もうしかけています。詳細は、是非私のブログを御覧になって下さい。