「出費は増えるのに年金は減らされるばかりだ」「将来、本当にもらえるの?」。高齢世代も働く世代も公的年金に不信と不安を募らせています。給付減と保険料負担増の連続、保険料未納者や無年金・低年金者の増大などが年金への信頼を大きく揺るがしているのです。民主党政権は「社会保障・税一体改革」でさらに年金大改悪を狙っていますが、許されません。いま必要なのは老後の安心を支える年金制度を構築することです。
「減らない」仕組みを
老後の生活設計で7割の人が公的年金を頼り、年金収入だけで暮らす高齢者世帯は6割以上にのぼるなど年金は、お年寄りの生活の基盤です。ところが実態はあまりに貧弱な制度になっています。
国民年金の平均受給額は月5万円にとどまり低年金者、無年金者も膨大に存在します。深刻なのは、青年層で保険料の未納者・未加入者が増大していることです。雇用破壊によって正規雇用が減らされ、被用者年金=厚生年金の青年の加入者は大きく減っています。不安定雇用に陥り、高すぎる国民年金保険料が負担できない青年が多数存在します。この事態を放置すれば、将来の無年金者を大量に生み出すことになりかねません。
野田佳彦政権が推進している「一体改革」は、年金の抱える問題をますます悪化させるものです。自民党政権でもできなかった給付額の大幅削減や支給開始年齢の65歳から先延ばしの大改悪、消費税大増税に突き進むことは、全世代の暮らしに直接打撃を与えるだけでなく、社会保障への国民の信頼を失わせ、将来不安をますますかきたて、消費を冷え込ませる最悪の「悪循環」の道です。
日本共産党が発表した「社会保障充実と財政危機打開の提言」は安心の年金制度へ抜本改革の道を示しました。国民の所得を増やす内需主導の経済改革をすすめ、年金制度を充実させる提案です。
第1段階では、破壊された年金制度を再生し、低年金・無年金の解決に踏み出します。年金額を自動削減する「マクロ経済スライド」を撤廃し、“減らない年金”にします。25年間保険料を払い続けないと1円も出ない受給資格期間を10年に短縮し、無年金者を減らします。基礎年金の2分の1を国庫負担している現行制度を拡充し、受給者全員に定額3万3千円(基礎年金満額の半分)を国庫負担で支給し、低年金の底上げをはかります。これは保険料納付意欲を高め、年金財政強化にも貢献します。
第2段階では、月5万円の最低年金を支給し、それに納付した保険料に応じて上乗せする最低保障年金制度を本格的に開始します。現在の満額受給者は月6万6千円から8万3千円に増えるなど年金が減る人はいません。財源も、第1段階では、無駄の一掃と富裕層と大企業の優遇税制改革などで確保し、第2段階では、応能負担原則に立った税制改革による方向を明確にしています。
「好循環」へ転換を
年金をはじめとする社会保障を、憲法25条が定める生存権で保障された水準に再生・充実することは国民の将来不安を大きく解消します。そのこと自体、国民の消費を拡大し、経済を好転させます。年金の抜本改革は日本経済再建へ「好循環」をつくる力にもなるものとして実現が待ち望まれます。