「子どもを放射能から守ろう」「原発ゼロの日本を子どもたちに」と、この1年、全国で広がった新しい運動の波は、原発再稼働を許さない力となって国の政策を揺り動かしてきました。1歳の子と初めてデモに参加した女性の「原発の危険と隣り合わせの世界でこれ以上、子どもを育てることはできません」という言葉は、多くの父母の共通の思いです。
子どもの願いに応え
きょう、北海道電力泊原発3号機が停止作業に入り、それによって国内で稼働している原発はゼロになります。原発に固執している政府・財界をはじめとした勢力を国民が追い詰めた第一歩の確かな成果です。そのうえに迎えた今年の「こどもの日」を、子どもたちに「原発ゼロ」の日本を手渡すための、国民的連帯を示す日にしよう―そんな声が国民のなかからあふれています。
「いつになったらほうしゃのうは、なくなりますか」「わたしはふつうに子どもをうめますか? 何さいまで生きられますか?」―。子どもたちの心と体には大きな不安が刻まれています。1年以上の間、思いきり外遊びができなかった子どもたちの体力の低下や発育の遅れも指摘されています。原発事故と放射能汚染は、国連「子どもの権利条約」がうたう「健康に生まれ、安全な水や十分な栄養を得て、健やかに成長する権利」を根底から揺るがしてきました。
同時に、被災地で人びとを何よりも元気づけたのは、子どもたちの存在であり、その笑顔でした。
今年3月に福島県浪江町が小中学生を対象に行ったアンケートでは、「おとなになったとき、どんな町になってほしいか」の問いに、「震災前の元の浪江町」「放射能の心配がなく、安全安心で、きれいな町」という、住み慣れた町の復興へのつよい思いがつづられていました。この子どもたちの願いに正面から応えることは、何より政治の責任です。
政府は原発事故原因の徹底的な究明もないまま、電力不足を口実に国民を脅して原発再稼働を押しつけようとしています。国民の声と運動は、こうした政府の姿勢を決して許すことはありません。
各紙の世論調査では原発再稼働に6割近くの人びとが反対しています。原発を利用し続けることそのものに反対する声も過半数を超えています。集会やデモには「多くの人が声をあげると変えられると思って」「もう無関心ではいられない。自分たちが行動しなければ」という思いから、ツイッターやブログでつながった若い世代や父母らが大勢参加しています。
子どもたちの命と健康を守り、安心安全の地域を再生させるために、再稼働の押しつけをやめさせるとともに、さらに一歩すすめて原発からの撤退、「原発ゼロ」の日本へ、国民多数の合意として政府に政治的決断を迫るたたかいをひろげていきましょう。
最高のプレゼントを
原発に固執する財界いいなりの政治をただしてこそ「原発ゼロ」の実現への展望が開かれます。
子どもには「最善の利益」が第一義的に保障されなければなりません。「原発からの撤退」の一点で原発推進勢力を包囲し、私たちおとなからの最高のプレゼント、「原発のない、希望ある未来」を子どもたちに贈ろうではありませんか。