消費税と大新聞
国民世論への敵対続けるのか
こうしたなか見過ごせないのは、大新聞が社説で「改革潰しは許されない」(「朝日」7日付)「3党合意に立ちかえれ」(同8日付)などと繰り返したことです。国民多数が消費税増税に反対しているのに法案の成立をけしかけ続けた態度は、まったく異常です。
世論調査にも見放される
「朝日」「読売」「毎日」などの大新聞は昨年来そろいもそろって消費税の増税を求めるなど異様な“翼賛”報道を続けてきました。それぞれが数百万部以上の発行部数を持つ大新聞が判で押したように同じ方向で政府をけしかけるのは、言論機関の役割を果たしていないと批判されてきました。
国民のなかには消費税増税に賛成だけでなく反対もあります。大新聞がその役割を果たそうとするなら、賛成だけでなく反対にも目を向け、社会保障拡充など国民的議論に役立つような「正確で公正な記事と責任ある論評」(「新聞倫理綱領」)を提供すべきです。消費税増税推進一辺倒ではその役割を果たしたことにはなりません。
しかも消費税増税法案の審議がすすむとともに明確になってきたのは、大新聞がどんなに社説で消費税増税をけしかけても、当の大新聞が実施する世論調査を含め、国民の間では消費税増税反対の声が一向に収まらないことです。大新聞自身も逆進性の拡大など消費税増税による矛盾は指摘しなければならなくなってきています。
民自公3党が衆院段階で「修正」で合意したとき、大新聞は「政治を進める転機に」(「朝日」)、「『決める政治』を評価する」(「毎日」)などと手放しで評価しました。ところがその後の世論調査では、消費税増税法案の「今国会成立を望まない」が61%(「毎日」7月30日付)と、国民の反発は明らかです。3党「修正」では消費税増税でういた財源を公共事業に回すことも盛り込まれましたが、「朝日」の調査でもそれに「反対」が56%です(6日付)。「修正」を賛美した大新聞の社説との落差は明白です。
日本共産党などが内閣不信任案と問責決議案を提出したのを受け民自公3党の間でも矛盾と亀裂が広がったのも、消費税増税に反対する国民世論と野田政権など増税勢力の間で矛盾が抜き差しならなくなっているからです。それでもなお大新聞が消費税増税をけしかけ続けるのは、自ら増税勢力の側に身を置き国民世論に敵対していることを証明するだけです。
増税を改革と言い募る愚
大新聞の社説は、法案が成立しなければ「『改革できない日本』という危険なメッセージを世界の市場に送ることになる」(「朝日」8日付)とか、「実現目前の一体改革を白紙に戻すのは、愚の骨頂」(「読売」同)と脅迫します。
しかしとっくに正体がばれた増税法案を「改革」などと言いくるめ続けることこそ“愚の骨頂”です。消費税増税に頼らない経済改革も探求しないで国民をどう喝するだけでは、まともな言論機関の役割はますます果たせません。