オスプレイ 自動回転能力の欠如
揚陸艦に搭載・運用 回転翼小さく
沖縄の米軍普天間基地(宜野湾市)に配備予定の垂直離着陸機MV22オスプレイにエンジン停止時に安全に着陸できるオートローテーション(自動回転)能力が欠如しているのは、同機を艦船上で運用する必要から回転翼の羽根を小さくしたためだということが米政府文書で判明しました。オスプレイを強襲揚陸艦に搭載し地球規模での出撃を可能にするという軍事上の要請を最優先し、安全を二の次にしたことを示すものです。
米政府文書で判明 安全より遠征能力優先
2000年にオスプレイの墜落事故が相次いだのを受けて米国防長官が設置した「V22プログラム再検討委員会」の報告書(01年4月)が指摘していました。
同報告書は、オスプレイのオートローテーションについて「着陸に成功する可能性は非常に低い」とする専門家の分析などを紹介。その大きな理由として「パイロットが(機体の)降下率と着地時の速度を調整できるようにするためのローター(回転翼)・システムのエネルギーが小さい」ことを挙げています。
具体的には、▽オスプレイの回転翼の大きさは、艦船上で運用する必要に規定されてヘリコプターのそれよりも小さくなっている▽オスプレイの回転翼の羽根のねじれは、ヘリ・モードでのホバリング(空中停止)と固定翼モードでのプロペラ(ターボプロップ)飛行の両方を可能にするための妥協として設計された―と指摘。「オートローテーションの観点からすると、こうした設計は、(機体の)降下率をより高く、速度をより早くし、回転翼エネルギーをより小さくする」と述べています。
オスプレイの普天間配備に関する米軍の「環境レビュー」は、同機が固定翼機のように飛行できることから現行のCH46ヘリに比べて約2倍の速度、約4倍の戦闘半径を有していると強調。さらに、強襲揚陸艦など艦船への収納、離着陸などの運用が可能だとして「戦闘部隊を艦船から直接、作戦目標へ迅速に展開」でき、「配備先は事実上無制限だ」と誇っています。
米海兵隊の地球規模での出撃能力=“殴り込み能力”を強化するため、オスプレイのオートローテーション能力は省かれたことになります。これは、沖縄県民や日本国民の安全をないがしろにするものであり、オスプレイの普天間配備の危険性をいっそう浮き彫りにしています。