しんぶん赤旗日刊紙「主張」

景気の悪化鮮明

消費税増税中止は待ったなし

4月の消費税増税から半年余り、消費の落ち込み、実質賃金の低下など、景気の悪化はいよいよ鮮明です。政府の月例経済報日本共産党4つの旗告も、9月、10月と2カ月連続で景気判断を引き下げました。こうしたなか安倍晋三政権は来年10月からの消費税の再増税に向け、7~9月期の国内総生産(GDP)などを見て増税実施を判断するとし、予定を繰り上げ、11月初めから有識者による点検会合を開催します。消費税再増税が景気の悪化をいっそう激しくし、暮らしと経済を壊滅的に破壊することは明らかです。安倍政権による再増税の強行は許さず、中止に追い込むべきです。

2カ月連続の判断修正

政府の公式の景気判断である月例経済報告が、2カ月連続で判断を引き下げたのは、並大抵のことではありません。政府は9月の月例報告で、回復基調だが、「このところ一部に弱さも見られる」と、「弱さ」がみられることを強調して、5カ月ぶりに景気判断を下方修正しました。10月はさらに、「一部に弱さ」を「弱さ」と表現を強め、2カ月連続の下方修正となりました。生産についても「このところ減少している」と判断を引き下げており、景気の落ち込みは明らかです。

政府が景気判断を2カ月連続で引き下げたのは、なにより消費税増税後の消費の落ち込みが、「増税前の駆け込み需要の反動なので短期で回復する」という政府の見通しに反して、長期にわたっていることです。家計調査の消費支出など、消費に関わる経済指標は軒並み落ち込みを続けています。

政府はこの夏の天候不順などを消費の落ち込みが長引いている理由にあげてきましたが、とてもそれだけでは説明がつきません。根本的には、国民の所得が伸び悩み、金融緩和や円安で物価が上昇していることもあって勤労者の実質収入が1年以上もマイナスを続けているなど、国民の暮らしがますます窮屈になっているためです。

深刻なのはこうした消費の落ち込みが鉱工業生産の落ち込みを招き、不況の影響がさらに広範になっていることです。鉱工業生産指数は8月、前月比で1・9%の減少でした。9月以降も伸び悩んでいます。日銀などの調査では、大企業製造業を除けば今後の見通しもよくありません。景気の落ち込みは深刻さを増しています。

消費が減り、売り上げが減ったため生産も減らさなければならないとなれば、いよいよ経済は行き詰まりです。国民の所得や中小企業のもうけが減れば、国や地方の税収も落ち込みます。政府は消費税を増税し、それを財源に社会保障を充実し、財政も再建するといっていましたがそれどころではなくなります。消費税再増税が暮らしも経済も財政も破壊することは、いまや誰の目にも明らかです。

増税中止は国民の世論

国民の間にはいま、経済がさらに悪化することへの不安とともに、消費税の再増税をやめるべきだという声が渦巻いています。景気回復「実感せず」84・8%(共同通信)、消費税増税「反対」73%(「毎日」)、「予定通り上げる」はわずか23%(NHK)など、最近の世論調査はその証明です。

消費税再増税の中止をいますぐ決断させるべきです。賃上げなどで国民の所得を増やし、経済を立て直す路線に転換すべきです。

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