しんぶん赤旗日刊紙「主張」

2015年5月8日(金)

主張

政治資金疑惑続発

全容解明と企業献金の禁止を

政治資金規正法に違反した虚偽記載の疑いで小渕優子前経済産業相の元秘書2人が起訴、日本歯科医師連盟(日歯連)は自日本共産党4つの旗民党議員に限度額を超えた献金を行うため民主党議員の後援会を迂回(うかい)させていた疑いで検察の捜索を受ける―政治資金をめぐる疑惑が立て続けに起きています。政治資金の届け出と収支の公開は、政治家が自らの政治活動について、国民から「不断の監視と批判」を受けるためのものです。政治家が自らの疑惑を解明するとともに、疑惑の温床となっている企業・団体献金の全面禁止に踏み出すべきです。

虚偽記載で政界工作捻出

小渕氏の政治資金疑惑は、昨年秋、同氏が後援会の観劇会の費用などを立て替えていた疑いとして発覚、小渕氏は経産相を辞任したものの疑惑の真相は明らかにせず、検察の捜査が続いていました。

検察が起訴処分を決めたのは、小渕氏の後援会などが主催した観劇会は赤字ではなかったのに収支を偽装、小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会(未来研)」から赤字の穴埋めに資金を提供したように虚偽報告して、未来研が「陣中見舞い」などに使った費用の捻出をはかった事実を認めたからです。後援会などの政治資金収支報告書も、資金管理団体である未来研の政治資金収支報告書も偽装するという手の込んだやり方で、政界工作などの資金が捻出されていたとしたらきわめて重大です。

小渕氏に関わる政治資金収支報告書の虚偽記載は、今回起訴された分だけでも未来研から後援会などへの架空の寄付と観劇会収支の改ざんを合わせて3億2000万円あまりとされています。「国家老」と呼ばれた元秘書らは起訴されましたが、小渕氏は嫌疑不十分で起訴されませんでした。小渕氏は自らの言葉で疑惑を説明するとともに、政治家としてその責任を明らかにすることが不可欠です。

小渕氏の資金管理団体である未来研は、政治家個人への企業献金は禁じられているため報告書に企業献金は出てきませんが、父親の小渕恵三元首相以来の財界との太いパイプが指摘されており、寄付者には「会社役員」などの個人名が、また資金集めパーティーの資金提供者には「ニトリ」などの企業名が上がっています。一方、小渕氏が支部長の自民党の選挙区支部は企業献金や政党助成金交付の受け皿にもなっています。虚偽記載された政治資金がどこから出てどこへ流れたのか、全面的に明らかにすることが必要です。

日歯連が政治団体間の寄付は5000万円までとなっている上限を突破するため、4500万円は自民党議員に直接、5000万円は民主党議員の後援会を迂回させて寄付したという疑惑は、企業・団体献金の不透明さを浮き彫りにするものです。同じ団体が党派の違う議員を後援すること自体異常ですが、迂回献金のトンネルに使われるなどとは驚きです。日歯連はもちろん多額の寄付を受け取った議員の責任も見過ごせません。

政治ゆがめる元凶ただし

企業や業界団体の献金は政治をゆがめる元凶です。巨額の資金が闇から闇へと流れるからこそ腐敗があとを絶たないのです。「会社役員」名義の実質企業献金やパーティー券購入を含め、いっさいの企業・団体献金の禁止こそ、政治腐敗を一掃する一番の要です。

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