しんぶん赤旗日刊紙「主張」

2015年6月21日(日)

主張

首相と「戦争法案」

「違憲」追及に開き直った

安倍晋三政権が成立をめざす「戦争法案」が、憲法を乱暴に踏みにじる「違憲」の法案であることがいよいよ明らかになるなかで、追及に開き直る首相の国会答弁が相次いでいます。「違憲」批判にまともに答えず、問答無用といわんばかりに「憲法の範囲内にあるからこそ法律として提出している。正当性、合法性に完全に確信をもっている」と突っぱねたり、ついには「従来の(憲法)解釈に固執するのは政治家としての責任の放棄だ」といいだしたりするありさまです。首相には平和主義だけでなく立憲主義や国民主権の点でも憲法を守る姿勢がありません。

「首相の判断」がすべて

「戦争法案」が、アメリカなどの武力行使と一体化する点でも、これまでの憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する日本共産党4つの旗点でも、憲法の前文や武力の行使を禁止した9条を乱暴に踏みにじる「違憲」法案であることは明らかです。「違憲」の法案は本来政府が国会に持ち出し、成立させようとすること自体許されません。「戦争法案」のための会期延長はおこなわず、直ちに廃案にすべきです。

衆院憲法審査会で、自民党推薦を含む3人の憲法学者がそろって憲法違反と明言した(4日)のは、「戦争法案」の違憲性を浮き彫りにしたものです。安倍政権はあわてて半世紀も前の砂川事件最高裁判決を持ち出してきましたが、判決には集団的自衛権の「し」の字もありません。政府自身つい最近まで集団的自衛権行使は憲法上許されないと明言してきており、砂川判決は違憲性を否定する根拠になりません。安倍政権は昨年7月の閣議決定で集団的自衛権は「合憲」と憲法解釈を変えたのは「安全保障環境が変容」したからだといいました。しかし、いつ、どう「変容」したのかと追及されても何の説明もできません。

こうしたなか、安倍首相が3人の憲法学者の憲法審査会での発言後はじめて「戦争法案」の違憲性に答えることになったのが、17日の党首討論でした。首相は「安保環境の変容」などこれまでの破綻済みの言い分を繰り返すだけで、「正当性、合法性に完全に確信をもっている」と突っぱねるだけです。首相にはまともに議論する姿勢自体がありません。翌日の衆院予算委員会の集中審議でも、自らの説明に説得力がないのは棚に上げ、「従来の解釈に固執するのは政治家としての責任の放棄」だと、違憲性を批判する側に不当な攻撃を向ける言語道断な姿勢です。

首相のこうした開き直りは、「戦争法案」を合憲と主張する言い分にいよいよ根拠がなくなっていることを示すだけでなく、憲法にどう書いてあっても自らの判断がすべてだという、安倍首相の立憲主義とも国民主権とも無縁な、独善的で独裁的な本性を示すものとして重大です。「私が国家」といわんばかりの強権的な姿勢は、憲法とも民主主義とも相いれません。

安倍首相追い詰め廃案に

「戦争法案」に対し「違憲」の法案だと廃案を求める声は、大きく広がっています。日本弁護士連合会は改めて「戦争法案」は恒久平和主義、立憲主義の理念、国民主権に違反するという意見書を全会一致で決めました。

説明に窮した安倍首相の開き直りを許さず、「戦争法案」を廃案に追い込むことが重要です。

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