2015年7月7日(火)
きょうの潮流
4年前、ワールドカップ(W杯)トロフィーを手にした彼女たちは口をそろえました。「これで女子サッカーが少しでも注目されれば」。かがやく笑顔の中にみなぎる使命感がありました▼世界の強豪相手に勝ち上がり、ふたたび立ったW杯決勝の舞台。雪辱に燃える米国の怒とうの攻撃の前に敗れたとはいえ、最後までひたむきにボールを追う日本代表の姿は変わりませんでした▼主将の宮間あや選手は決戦を前に「このW杯前はまた国内リーグや女子サッカーへの関心が薄れてきていた」と話していました。だからこそ結果を出したいと。実際、前回の優勝後、「なでしこリーグ」の観客数は3倍に。しかし、その年をピークに減り続けています▼競技環境も依然きびしい。今大会で活躍した有吉佐織選手はアマチュア契約。普段はフットサル場で受け付けの仕事をしています。プロが増えたといっても、リーグ所属のほとんどが仕事やバイトをしながらのアマ選手です▼サッカーを続けられる道も狭い。先駆者の澤穂希選手は自伝でこんなことを。「サッカー少女の進路には、サッカー少年のように数多い進路はなかった」。より高みを目指したいのに先がない。彼女たちはそんな苦悩の中で必死に草を分けて開拓してきました▼女子サッカーをブームではなく、文化として根付かせたい。宮間選手の思いは、女子選手たちの共通の願いです。たった一つの競技場に巨費を投じるよりも、少女たちの未来につながる道をひろげるべきではないか。 写真は、4日のふれあいセンターでの「ふれあい七夕まつり」で演奏する「早雲太鼓」