しんぶん赤旗日刊紙「主張」

2016年6月9日(木)

主張

「アベノミクス」加速

経済の破綻が激化するだけだ

安倍晋三首相(自民党総裁)が今度の参院選挙を「アベノミクスを前進させるか後退させるかを決める選挙だ」と繰り返し、選挙無題に勝って「アベノミクスのエンジンをふかす」「完全遂行を」などと主張しています。安倍政権の経済政策「アベノミクス」が破綻し、来年4月に予定した消費税増税もさらに2年半延期しなければならなくなった経済失政をごまかすためなのは明らかですが、破綻が明らかな「アベノミクス」を加速すればそれこそ日本経済が壊れてしまいます。安倍政権に厳しい審判を下し「アベノミクス」から転換することが参院選の焦点です。

経済失政はごまかせない

安倍首相は消費税の増税延期は世界経済の不安が高まったからだと失政をごまかし、有効求人倍率など都合のよい数字だけを持ち出して「アベノミクス」は成果を上げているなどと主張しています。しかし暮らしの実態に照らせば国民は「アベノミクス」の効果を実感しておらず、消費にも雇用にも不安を募らせているのは明白です。

マスメディアの世論調査でも、消費税増税の延期を評価する人が大半でも、世界経済が「リスクに直面している」からという首相の説明に「納得しない」が「朝日」の調査で58%に上り、安倍政権の経済政策を評価しないという人は「読売」の調査でも44%と、評価すると同数になっています。共同通信の調査では「アベノミクス」を「見直すべきだ」と「完全に方向転換すべきだ」が合わせて6割近くに上ります。

安倍首相が「アベノミクス」の成果としてたびたび持ち出している求職者にたいする求人の割合を示す有効求人倍率の上昇は、正規雇用など希望する求人が見つからず、求職者が急速に減っていることを無視しています。雇用が増えてもほとんどは非正規という雇用破壊の実態は、“成果”などと呼べるものではありません。

「アベノミクス」の3年半、大企業のもうけと内部留保は急速に増えても、国民の消費や収入はよくなっていません。勤労者の実質賃金は2011年度から15年度まで5年連続の減少で、5%も下がっています。国内総生産(GDP)の統計で見た個人消費も14、15年度と2年連続のマイナスです。安倍政権が当初昨年10月に予定した消費税再増税を2回延期するのも、一昨年4月の消費税増税後の消費の落ち込みが「予想外」に大きく、長引いたためです。安倍政権の失政の責任は明らかです。

安倍政権がこうした失政の責任を認めず、「アベノミクス」のエンジンをふかしたり、「完全遂行」したりすれば、それこそ暮らしと経済は破綻します。「アベノミクス」のもとで深刻化している貧困と格差の拡大はさらに耐え難いまでになります。「アベノミクス」は加速どころか転換が不可欠です。

改憲の目くらましの危険

安倍首相が「アベノミクス」を参院選の争点と位置付ける狙いに、戦争法の廃止や改憲から国民の目をそらさせる目的があることも見落とせません。安倍首相はこれまでの選挙でも経済が最大の争点だと言いながら、選挙が終わった途端、秘密保護法や戦争法の制定を持ち出してきました。民主主義を破壊するこうした目くらましを許さないためにも、安倍政権全体への厳しい審判が不可欠です。

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