しんぶん赤旗日刊紙「きょうの潮流」

きょうの潮流                                                                   1231dsc_4378s2016年が暮れてゆきます。それぞれの喜びや悲しみ、世の出来事も、年の移り変わりとともに心のうちに折り重なっていきます▼〈ゆく年を橋すたすたと渡りけり(鈴木真砂女)〉。振り返って感慨にふけることもなく、新しい年に向かう人も。いずれにしても、どこかで折り合いをつけながら人は前に進んでいきます▼年末にオバマ米大統領と真珠湾を訪れた安倍首相は「和解の力」を強調しました。75年前、ここを発端に戦火を交えた日米。寛容の心が両国を結びつけ、パールハーバーはその象徴だと▼日本が起こした戦争については黙して、戦没者を哀悼し、希望を語る。いくら言葉を飾っても、日本の首相としてどんなに無責任で空疎な演説か。あの戦争で犠牲になった人びとを「慰霊」するというなら、なぜ侵略と植民地支配によって筆舌に尽くしがたい苦しみを与えたアジアの国々に足を向けないのか▼首相とともに真珠湾を訪問した稲田防衛相が戻った足を運んだのは靖国神社でした。戦争を正しかったとする勢力の本拠地。そこへの防衛相の参拝は、歴史と誠実に向き合って折り合いをつけるどころか、対立と分け隔てを深めるだけです▼この政権の欺まんと正体が鮮やかに。年が改まっても、国の行く末を誤り、生活を危うくするアベ政治がつづくかぎり、たたかいはさらに。今年の本欄も沖縄のたたかい、そして安倍政権に対して野党と市民が共闘する姿を多く。その息吹を伝える「しんぶん赤旗」を、来年もどうぞよろしく。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です