主張
憲法施行70年
安倍政権の執念と矛盾見据え
日本国憲法が、1946年11月3日に公布、半年後の翌47年5月3日に施行されてから、70年を迎えました。70年の長きにわたって憲法が維持されてきたこと自体、国民に支持され、定着してきたことを証明するものです。占領下の「押し付け」を言い立て、改憲を公言する安倍晋三政権のもと、秘密保護法や安保法制=戦争法の制定、「共謀罪」導入など解釈改憲の策動が相次ぎ、9条など憲法の条文そのものも変えてしまう明文改憲までかつてない動きを見せています。改憲の執念とともに矛盾を見据え、70年を経た憲法を守り生かしていくことが重要です。
歴史が裏付けた値打ち
施行70年を記念して、東京・竹橋の国立公文書館や永田町の憲政記念館で記念の展示が行われています。その一つ、公文書館に展示された日本国憲法の原本は、強い力で迫ってくるものがあります。
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し…政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し…この憲法を確定する」(前文の冒頭)
国民主権、平和主義と戦争放棄、基本的人権の尊重などは、日本国憲法の大切な原則です。
アメリカの法学者はかつて、世界の成文化された憲法を比較して、「世界でいま主流になった人権の上位19項目までをすべて満たす」と述べたことがあります(「朝日」2012年5月3日付)。日本の憲法は、手付かずに生き続けてきたその「長さ」だけでなく、「信教の自由」や「女性の権利」など、人権保障の「先進ぶり」でも抜きんでているというのがその指摘です。
日本国憲法は、アジア・太平洋戦争での敗戦からわずか1年余りで制定、公布されました。安倍首相や改憲勢力は占領下の「押し付け」を言い立てますが、戦争による日本全土の荒廃が目の前にあり、二度と戦争の惨禍は繰り返さないという国民的な決意が背景となって制定され、70年にわたって憲法を支えてきたのは明白です。
「昭和二十二年(一九四七年)五月三日―それは私たち日本国民が永久に忘れてはならない新日本の誕生日である」(憲法普及会『新しい憲法 明るい生活』)
「こんどの憲法では、日本の国が、けっして二度と戦争をしないように、二つのことをきめました。その一つは…戦争をするためのものは、いっさいもたないということ(中略)もう一つは…けっして戦争によって…じぶんのいいぶんをとおそうとしないということ」(文部省『あたらしい憲法のはなし』)
公布や施行に前後して、政府や国会から大量に発行された憲法の解説にも、新憲法に対する国民の高揚感が示されています。
守り生かす国民の意思
安倍首相のように、憲法を「押し付け」と非難し、明文であれ、解釈であれ、「壊憲」の策動を繰り返すことが、こうした出発点に反しているのは明らかです。安倍首相が「任期中の改憲」を公言しても、改憲派でさえまとまらず、国会での改憲案づくりが前進しないのも、国民の意思に根本的に反しているからです。
改憲の執念は軽視しない。しかし矛盾も大きいことを直視し、憲法を守り生かしていきましょう。