原発推進団体に天下りゾロゾロ 1900万円報酬も
東日本大震災にともなう東京電力福島第1原発で起きた最悪の事故で、原子力の安全のための規制機関を、原発推進の経済産業省から切り離すことなどが求められていますが、原発関連の財団法人などに、同省幹部らが多数、天下りしていることが本紙の調べでわかりました。
ホームページで「原子力の安全確保に取り組む専門家集団で」とうたっている独立行政法人「原子力安全基盤機構」の場合、理事長は資源エネルギー庁発電課長、科学技術庁原子力安全課長などを歴任した旧通産官僚でした。3人の理事のうち、2人は、原子力安全・保安院の企画調整課長と、原子力安全基盤担当の審議官でした。
1995年のナトリウム火災事故以来、運転を停止している高速増殖炉「もんじゅ」を運営している独立行政法人「日本原子力研究開発機構」も、7人の理事のうち、3人が官僚ОBです。
原発地域の振興策や原発見学会などにとりくむ財団法人「電源地域振興センター」は会長が東京電力の清水正孝社長。理事長は、元中小企業庁長官で、理事には、元中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局長らが名前を連ねています。
原発などの立地について「地域住民の理解促進や国民の合意形成を図るため」広報活動などを展開している財団法人「日本立地センター」の理事長は元通産省通産審議官、専務理事は元九州通産局長です。
このほか、原発によって廃棄される使用済み核燃料の最終処分場の建設・管理など処分事業全般をおこなう「原子力発電環境整備機構」、「政府の原発利用計画の策定と政策の推進に協力」する社団法人「日本原子力産業協会」なども。
これら原発推進団体が、原発推進の経産省幹部を受け入れているのは、癒着そのものです。
しかも、国民にとって重大なのは、これら天下り官僚が多額の報酬を受け取っていること。たとえば、電源地域振興センター理事長の年間報酬は1900万円です。ボーナスや退職金も目をむくような額で、日本立地センターの理事長の場合、ボーナスは月額報酬110万円の5・5カ月分。退職金は月額報酬×30%×在職月数で計算され、5年務めたとすると、1980万円にもなります。
原発被害の賠償に、増税や電気料金値上げといった国民負担を求める動きも出るなか、「環境エネルギー政策研究所」(飯田哲也所長)は、「原子力関連の独立行政法人や公益法人を徹底精査し、補助金を全面的に引き揚げるとともに、積立金等がある場合、それを充当する」と提案しています。