野田佳彦政権が進める消費税増税は社会保障改悪と一体であり、経済も財政も共倒れにする―。
日本共産党の志位和夫委員長の衆院予算委での質問は消費税増税の口実を根底から突き崩し、反対の大義と、消費税増税に頼らない対案を浮き彫りにしました。
充実・安定財源は虚構
志位氏が「『改革』によって社会保障全体の水準が引き上がるわけではないと認めるか」と質問したのに対して、首相をはじめ政府の誰も否定できません。消費税率10%への増税による13・5兆円の負担増のうち「社会保障の充実」に使うのは2・7兆円、わずか税率1%分です。他方で、政府の「社会保障・税一体改革」は年金、子育て、医療、介護など社会保障切り捨てのオンパレードです。
年金や医療など当面の削減だけでも2・7兆円、年金支給開始年齢の引き上げが強行されればさらに6兆~10兆円の削減です。社会保障「充実」は通用しません。
志位氏は、消費税増税では「安定財源確保」もできないことを、1997年の5%への消費税増税など9兆円負担増の教訓を交えて明らかにしました。野田首相も失政と批判していたものです。
97年の負担増は経済の長期停滞を招いて国の税収を大きく落ち込ませました。当時は可処分所得が伸びている中での増税でしたが、今回は反対に可処分所得が長期にわたって減り続けています。そこに消費税増税で13・5兆円、社会保障などそのほかの負担増を含めると20兆円を超える負担増です。無事に済むはずがありません。
とりわけ、志位氏がとりあげた中小企業の被害は深刻です。
いまでも多くの中小企業が消費税を売り値に上乗せできずに苦しんでいます。消費税の納税義務は事業者に課されており、たとえ事業が赤字でも消費税は身銭を切って納税しなければなりません。消費税の増税でますます景気が悪化し、「デフレ」下の異常な価格競争に拍車がかかって、消費税分を上乗せすることがさらに難しくなることは目に見えています。
「身銭を切る」とは保険を解約し、なけなしの預金を下ろし、両親や自分の給料を犠牲に消費税を納めるということだ―。志位氏は中小業者の血のにじむような苦労を紹介し、「こういう現状で大増税をかぶせたら日本経済を支える中小企業が持ちこたえられると思うか」と追及しました。首相もほかの閣僚も、中小企業が消費税を転嫁できていない実態は認めざるを得ません。
内需の頼みの綱である家計と中小企業に破壊的打撃を与える消費税大増税の誤りは明らかです。反対を貫くのは当然です。
政治の姿勢変えるなら
それではどうやって社会保障充実と財政危機打開を進めるか―。志位氏は日本共産党の「社会保障充実、財政危機打開の提言」を首相に手渡し、政治の姿勢を変えれば消費税に頼らずに社会保障の充実と財政再建の道を開くことができることを明らかにしました。
まず新たな大企業減税は、やめることです。首相は証券優遇税制の延長がなぜ景気回復に関係するのかと問われ、その根拠を答えることができませんでした。
消費税大増税ではなくムダ遣いを「聖域」なく一掃し、富裕層と大企業に応分の負担を求めることこそ問題解決への第一歩です。