真夏の盛りとともにスポーツの宴が終わりました。深夜から明け方のテレビにかじりつき、味わった興奮や感動。その熱狂がすぎさると、祭りの後のようなさびしさも漂います▼世界が楽しむ人類の競演とはいえ、そこはスポーツの世界。白黒の色分けは鮮明です。歓喜の勝者も、傷心の敗者も、いまは4年に1度のオリンピックの余韻にひたっているのでしょうか▼トップアスリートたちが織りなす妙技と力技の数々は、雄弁にそれを生み出すまでの過程を物語ります。そして培ったものを出し切ったあとの言葉も含蓄にとんでいました▼ボクシングの男子ミドル級で初めて金メダルを手にした村田諒太選手。「他の人より少し才能があり、少し努力をしただけ。これがゴールだと思えば泣き崩れていたかもしれないが、これ(金メダル)がぼくの価値ではない。これからの人生がぼくの価値。恥じないように生きていく」。淡々と▼体操の男子個人総合を制した内村航平選手は「自分の力だけではここまでこられなかった。感謝の気持ちでいっぱい。一番大きい試合の一番いい色のメダルを取ったが、満足していない。あしたからは過去になる。自分には理想があるし、それを達成しても終着点ではない」▼目標には届かなかった選手も、「この4年間の挑戦はこれからの人生に絶対生きる(自転車女子・片山梨絵選手)」。その前向きさが、次のステップを築いていくはずです。選手たちの健闘をたたえつつ、早くも4年後のリオ五輪を待ちたい。
しんぶん赤旗「潮流」
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