“浮き草”か“草の根”か
「共産党除くと政党らしい政党はない」
国民への背信と党利党略に明け暮れる民主・自民の「二大政党」、解散・総選挙が迫り選挙目当てで新党結成や橋下「大阪維新の会」との連携を模索する政治勢力や政治家の動き…。そんななかで、政党の原点とはなにか、政党らしい政党はどこかが国民的に問われています。(政党・政局取材班)
“敵ながらあっぱれ”自民総裁
8月31日、東京・永田町の自民党本部。そこで開かれたある会合で、谷垣禎一総裁が講演しました。
谷垣氏は、3年前の総選挙で失った政権を奪回するため、同党が地方組織から立て直しを図ってきた経過に触れながら、こうのべました。
「日本(の政党)で地方組織をしっかりし、どこへいってもそれなりのレベルの地方議員をもっているのはそう多くない。共産党というのは、そこは敵ながらあっぱれで、それなりのレベルの地方議員を持っている」
■2万の党支部
谷垣氏の指摘は、自民党が下野してから取り組んだ地方行脚を踏まえたもの。そこで、体験的に実感したのが、日本共産党の“草の根”の力だというわけです。ちなみに、日本共産党の地方議員は2743人(8月27日現在)、全国2万余の党支部が、日常的に国民と結びついて活動しています。
鳥取県知事や総務相を歴任した片山善博氏(慶応義塾大教授)は、『中央公論』9月号の対談で、「政党本来の姿」について論じています。「政党には党員がいて、党員たちの願いをかなえるための政策があり、その政策を実現するために候補者を選定して当選させる。議会でそうした候補者が多数派を形成して権力を握り、政策を実現させていく」
この点で、「日本には共産党などを除くと政党らしい政党は事実上ない」とのべています。
■基盤が解けた
なぜいま、“政党らしさ”“本来の政党”が問題になるのか。
野田首相への問責決議案が可決された8月29日。テレビ朝日系の「報道ステーション」で、三浦俊章「朝日」編集委員は「『維新の会』、第三極いろいろ動いている」とのべつつ、選挙互助会のような議員集団や政党を渡り歩く議員たちとの連携で、「維新の会」が“神経戦”を繰り広げていると指摘。「小泉(純一郎元首相)さんのときのような劇場型政治がもっとひどくなるのではないか。それは政党政治の基盤が解けてしまっている(からだ)と思う」とのべました。
7月15日のNHK「日曜討論」では、前出の片山氏が「二大政党はどっちかというと現職議員のクラブ」「政党の体をなしていない」「いろんな(政治)塾が立ち上がるけど、結局、既成政党と同じ事をやっている」と批判し、「本来の政党をつくろうという動きがあってもいい」と問題提起。司会の島田敏男NHK解説委員は、「“自前で組織を”と政党助成金を拒否している共産党はまさにそういう組織論を主張している」と応じ、「政党が足腰をきたえること」が今後の政党の課題だという議論が、出席者の間で交わされました。
党利党略、個利個略に明け暮れ、国民、有権者から遊離して「浮き草」化してしまった政党や政治家。そんななかで、自前の「草の根」の組織を持ち、「草の根」の国民の声を国政につなげようとまっとうに努力する日本共産党の姿が「本来の政党」「政党らしい政党」の姿として注目されているのです。