“核ごみ” 電力会社保管を
学術会議報告 “再稼働容認できない”
原発の稼働で発生する使用済み核燃料や再処理後の高レベル放射性廃棄物(“核のごみ”)に関して、日本学術会議の分科会は25日、再稼働を判断する際、新たに発生する高レベル放射性廃棄物を暫定的に保管する施設を電力会社の責任で確保することを必要条件にすべきだとする報告書をまとめました。学術会議は、独立して職務を行う内閣府の「特別の機関」で、「わが国の科学者の内外に対する代表機関」として政府に勧告する権限も持っており、その報告は重いものがあります。
原発の再稼働の前提となる規制基準は、高レベル放射性廃棄物を暫定的に保管する施設の確保を条件にしていませんが、報告書は、「その点をあいまいにしたままの再稼働は、将来世代に対する無責任を意味するので、容認できない」と指摘しています。
学術会議は2012年9月、高レベル放射性廃棄物を地下深くに埋めて処分する国の計画は行き詰まっており、「白紙に戻す覚悟で見直す必要がある」と指摘。「暫定保管」については、使用済み核燃料などを後から回収できる深さに「数十年から数百年の間」保管するなどと提言しました。
今回の報告書では、暫定的な保管について、1世代に相当する30年を一つの期間として、その間に、その後のより長期の政策選択の判断をすべきだとしています。さらに、暫定的に保管する施設の建設は、原発で収益を得てきた電力会社が負うべきであり、使用済み核燃料を保管する施設の確保は、原発の再稼働の前提条件とすべきだと指摘。「そのような条件の明確化をしないままの、既存原発の再稼働や原発建設・増設は、『現在世代の責任の原則』に反して無責任であり、容認出来るものではない」としています。
学術会議は29日、報告書の内容について記者会見する予定です。