2016年7月9日(土)
主張
戦争法廃止の意思
いよいよ怒りの審判下す時だ
安倍晋三政権が憲法9条を踏みにじり、昨年9月に強行した安保法制(戦争法)の廃止が大争点の参院選はあすが投票日です。米国が海外で起こす無法な戦争に自衛隊を派兵するのが戦争法の最大の狙いです。「専守防衛」の志を抱いて入隊し、熊本の地震や東日本大震災など自然災害の救援・復旧にも力を尽くしてきた自衛隊員が海外の戦場で「殺し、殺される」。こんな事態を現実にしないため戦争法廃止・改憲阻止のきっぱりとした審判を下すことが重要です。
自衛隊員に血流させるな
戦争法は、創立から60年以上になる自衛隊の性格を一変させ、「他国防衛」のための集団的自衛権の行使など海外で武力行使できる仕組みを盛り込んだ、極めて危険な違憲立法です。
戦争放棄、戦力不保持を定めた憲法9条と相いれない戦争法を推し進めるため、安倍政権は「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」という歴代政権の憲法解釈を百八十度覆す閣議決定(一昨年7月)を行った上、空前の規模の反対運動に発展した国民の意思も、世論調査で8割にも上る「国会審議が不十分」という声も一切無視して、国会の「数の力」を振りかざし成立を強行しました。安倍政権によるあからさまな民主主義破壊、立憲主義破壊の暴挙の数々を忘れることは絶対にできません。
集団的自衛権の行使のほか、▽「戦闘地域」での米軍などへの軍事支援(兵(へい)站(たん))の拡大▽戦乱が続いている地域での治安活動などの任務追加▽地球規模での米軍部隊や兵器などを守るための武器使用―という海外での武力行使の仕組みが盛り込まれた戦争法が3月に施行されたことで、自衛隊員が海外で「殺し、殺される」危険が差し迫っています。自衛隊員の命を守るためにも戦争法の廃止は一刻の猶予もありません。
安倍首相は、北朝鮮のミサイル・核開発問題や中国の海洋進出の問題を持ち出し、戦争法によって「日米の絆」が強まり、「抑止力」が高まったと宣伝します。しかし、戦争法成立後、北朝鮮は国連安保理決議に違反する弾道ミサイルの発射を加速させ、中国の軍艦が尖閣諸島周辺を通過するなど許し難い重大な動きを見せています。戦争法の「抑止力」の虚構性を指摘する声は少なくありません。
一連の事態は、相手の軍事的緊張を高める行為に、日本も軍事態勢の強化で応えれば“軍事対軍事”の悪循環に一層陥る危険を示しています。必要なのは、戦争法ではありません。困難はあっても対話や交渉によって問題を解決する憲法9条の精神に立った外交戦略こそ必要です。
自民、公明などを少数に
参院選の焦点は、軍事同盟を「血の同盟」と述べた安倍首相の下で、米国がベトナム戦争やイラク戦争のような無法な戦争を起こした際、自衛隊を出動させ、米軍とともに武力を行使し、自衛隊員の血を流させることを許していいのかどうかです。安倍政権が狙う9条改憲阻止も重大争点です。
戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻す―。参院選では、こうした大義で結束している野党共闘の勝利と日本共産党の躍進を実現し、戦争法を強行した自民・公明両党とその補完勢力を少数に追い込み、改憲策動を打ち砕く結果を示そうではありませんか。