しんぶん赤旗日刊紙のきょう(30日)の「主張」を次に紹介いたします。
5000万円の入った紙袋を「テーブルの下で目立たないように渡した」そうです。小沢一郎民主党元代表の秘書ら3人が政治資金規正法違反の罪に問われた裁判で、三重県の中堅ゼネコン・水谷建設の元社長が、ヤミ献金提供の様子を生々しく証言しました。
水谷建設の小沢事務所へのヤミ献金疑惑は、「しんぶん赤旗」日曜版が2年前の11月から詳細に報じ、小沢元代表の疑惑の核心となっていました。金を運んだ当事者が公開の法廷で語ったヤミ献金の証言は重く、小沢氏に国民への説明責任を突きつけています。
隠ぺいの動機が
秘書らの裁判は、小沢元代表の資金管理団体「陸山会」の巨額の土地取引で、購入資金の原資となった小沢元代表からの4億円の借入金を政治資金収支報告書に記載しなかったことを問うものです。
なぜうその記載をしたのか。検察側は冒頭陳述で、水谷建設が小沢元代表の地元・岩手の胆沢(いさわ)ダム工事受注の謝礼として2回計1億円のヤミ献金をした時期が、陸山会の不動産取得の時期と重なっており、「記載すれば4億円の原資が胆沢ダム工事受注謝礼の違法な資金と追及されるおそれがあった」ことが動機だとしました。
元社長の証言で、小沢事務所の公共事業支配は、ここまで強烈なのかと驚かされます。
元社長は、ダム工事の下請け受注をねらって、小沢事務所で工事受注を取り仕切っていた大久保隆規被告を訪ねたさい、「来るのが遅い」と叱責されたといいます。なんとか取り入ろうと、大みそかに松阪牛と100万円を大久保被告に届け、料亭での接待も重ね、受注を了承されたときには、1億円のヤミ献金を命じられて唯々諾々と従うしかありませんでした。
元社長は「小沢事務所に反対されれば参入できない」といい、首尾よく受注できたのは「小沢事務所と大久保秘書の協力のたまものと思います」と証言しています。
公共工事を錬金術の種にし、税金から多額のヤミ資金を得る小沢事務所の体質だから、それを隠すために政治資金規正法など平気で踏みにじったという検察の主張の説得力は増しています。
大久保被告らはヤミ献金受領の事実を全面否定しています。被告側弁護団は、元社長の証言の変遷などをあげ、信用性を否定しようとしました。しかし、元社長の証言は、本紙の取材に応じたときから一貫しており、揺らいではいません。検察の支配下にあって虚偽を述べているとも思えません。
その証言の迫真性とともに、「会社としての反省、申し訳ないという気持ちがあり証言した」という説明は、素直であり、信頼性を感じさせます。
核心はゼネコン疑惑
小沢元代表は、自民党竹下派時代から公共事業に強い支配力を持ち、「天の声」を発することで多額のゼネコン資金を得てきたという多くの証言があります。
水谷建設のヤミ献金について、小沢元代表は「まったくでたらめ、そのような事実はない」としか説明していません。自らが政治資金規正法違反に問われた事件でも、裁判を控えていることを理由に国会での証言から逃げました。ヤミ献金を贈ったというゼネコン側の証言を前に、このままだんまりでは国民は納得できません。