しんぶん赤旗日刊紙「主張」

2015年4月30日(木)

主張

日米首脳会談

民意の無視が「不動の同盟」か

安倍晋三首相がオバマ米大統領と会談しました。その際、発表された「日米共同ビジョン声明」には「不動の同盟国」「強固な同日本共産党4つの旗盟」「揺らぐことのない同盟」などという言葉が並びましたが、会談で実際に示されたのは、日本国民多数の反対世論を切り捨て、沖縄の米軍新基地建設や新ガイドライン(日米軍事協力の指針)・「戦争立法」の法案化、環太平洋連携協定(TPP)の早期妥結を問答無用で推し進めようとする、許し難い強権姿勢でした。

沖縄の「屈辱の日」再び

沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設問題をめぐり、首脳会談の焦点になったのは、安倍首相が今月17日に初会談した翁長雄志知事の要請を受け、「沖縄県民は辺野古移設計画に明確に反対している」(翁長氏)ことをオバマ大統領に伝えるかどうかでした。

ところが、日米両政府は首脳会談前日の外交・軍事担当閣僚会合(2プラス2)の共同発表で、辺野古の新基地建設が「唯一の解決策」だと早々に宣言してしまいました。首脳会談で首相は、「翁長知事との初会談で知事から辺野古移設に反対と言われ、自分は、辺野古移設が唯一の解決策だという立場に揺るぎはないと言った」というやりとりを紹介しただけです。

首脳会談後の共同記者会見では、新基地反対の沖縄の民意には一言も触れず、「普天間飛行場の危険性を辺野古移設によって一日も早く除去する」と強調し、普天間基地の痛みを辺野古に押し付ける姿勢を改めて鮮明にしました。

くしくも首脳会談が行われた4月28日は、1952年に沖縄が日本から切り離され、米軍占領が継続したサンフランシスコ条約発効の「屈辱の日」です。「首脳会談で辺野古移設を再確認すれば、沖縄の人々は再び『4・28』の日に切り捨てられた、と憤りを込めて思う」(沖縄タイムス28日付)のは当然です。

新ガイドライン・「戦争立法」の問題でも、安倍首相の民意無視の姿勢はあらわでした。

首相は共同記者会見で、新ガイドラインと「戦争立法」のために「日本は米国の戦争に巻き込まれる」という国民の懸念を「レッテル貼り」だと切り捨てました。60年の日米安保条約改定時にも同じ批判があったが、日米安保によって「日本の安全、アジア太平洋地域の平和と安定が守られてきた」と述べ、「批判は全くの間違いだった」とまくし立てました。

こうした主張こそ、日本が改定安保条約の下で、米国のベトナム侵略戦争の最前線基地になったという事実を逆さまに描いた「レッテル貼り」に他なりません。

米国と肩を並べて戦争

日本はその後、地球規模に拡大した日米軍事同盟の下で米国のアフガニスタン報復戦争やイラク侵略戦争に加担してきました。さらに今回の新ガイドライン・「戦争立法」によって「グローバルな射程を有するようになった同盟を強化」(日米共同ビジョン声明)し、米国と肩を並べて「海外で戦争する国」になろうとしています。

国民世論に逆らう約束を国会にも諮らず首脳会談で行うことは民主主義国家として極めて異常です。首脳会談をてこにした安倍政権の暴走を許さない運動と世論を強め、広げることが必要です。

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