しんぶん赤旗」カテゴリーアーカイブ

しんぶん赤旗日刊紙より

反省なき外交では、真の和解と友好を築くことはできない

日本共産党 志位和夫委員長が談話

2016122901_02_1-jpg%e5%bf%97%e4%bd%8d%e5%a7%94%e5%93%a1%e9%95%b7一、安倍首相の真珠湾訪問で何よりも問われたのは、首相が過去の日本の戦争をどう認識しているのか――その歴史観、戦争観だった。しかし、首相がのべた所感では、「戦争の惨禍は、二度と、繰り返してはならない」というだけで、過去の戦争に対する認識は一切語られなかった。

75年前の真珠湾攻撃は、中国侵略戦争の行き詰まりを、戦線をアジア・太平洋全域に広げることによって打開しようとした、文字通りの侵略戦争である。日本の首相が真珠湾を訪問するというのならば、アメリカ国民に対してだけでなく、アジアの諸国民、そして日本国民に、甚大な惨害をもたらしたアジア・太平洋戦争に、真摯(しんし)に向き合い、この戦争をどう認識し、どう反省しているかを、語るべきだった。

一、安倍首相は、2013年12月の靖国神社参拝に対して、内外からの厳しい批判が集中したのち、過去の戦争を美化する「歴史修正主義者」としての本心を隠しながら、「『戦後』を過去のものとして終わらせる」ために腐心してきた。15年8月の「安倍談話」に続く、今回の真珠湾訪問は、そうした試みの一つである。

しかし、過去の日本の戦争を「間違った戦争」とは決して認めようとしない(15年5月・党首討論)反省なき外交では、世界とアジアの諸国民との真の意味での和解と友好を築くことはできない。

一、安倍首相が所感でもっぱら強調したのは、戦後の一時期における米国の対日政策を礼賛することで、日米軍事同盟を「希望の同盟」として全面的に美化し、「いままでにもまして、世界を覆う幾多の困難に、ともに立ち向かう」と誓約することだった。

しかし、アフガニスタン戦争、イラク戦争のような米国の侵略と覇権の戦争に、自衛隊が安保法制=戦争法によって参戦し、「殺し殺される」道を進むことのどこに「希望」があるのか。沖縄での米軍基地問題が象徴しているような対等な主権国家間の関係とはいえない異常な従属体制を放置したまま「希望」が語れるか。

しんぶん赤旗日刊紙「主張」

1217dsc_40432016年12月11日(日)

主張

原発事故処理費用

なし崩し国民負担増は許せぬ

東京電力福島第1原発事故の賠償や除染、廃炉などの費用をどう賄うか検討してきた経済産業省が、国の支援を拡大するとともに、消費者の電気料金や原発を持ったことがない「新電力」にも負担を求める方針を打ち出しました。事故を起こした東電の責任はあいまいにして、なし崩しで国民の負担を拡大するのは許されません。経産省は事故処理の費用を全体で約21・5兆円ともくろんでいますがそれだけで済まない可能性もあり、安易な国民への負担転嫁ではなく、東電の責任を明確にして、国と東電で必要な資金を確保する原則を確立すべきです。

巨額に膨らむ処理費用

経産省が財界人などでつくる「東京電力改革・1F(福島第1原発)問題委員会」で検討してきた案は、週明けの報告書提出後、安倍晋三政権で正式決定されます。 続きを読む

しんぶん赤旗日刊紙「主張」

%ef%bc%91%e9%9d%a2%e8%a8%98%e4%ba%8bimg_98262016年11月30日(水)

主張

「カット法案」強行

年金への信頼失わせる暴走だ

安倍晋三政権と自民・公明の与党が衆院本会議で国会の会期を延長し、「年金カット法案」と批判されている国民年金法等改定案の可決を強行しました。先週末の厚生労働委員会での強行採決に続く暴挙です。与党は、参院に送付し成立させる構えです。年金は、若い時から保険料を払い続け、退職後は老後の収入の柱になる、人生設計にもかかわる大問題です。その支給の仕組みを変える法案を、十分な審議を行わず、「数の力」で押し通す政府・与党の姿勢は異常です。年金への国民の不信を高める問題だらけの「カット法案」は廃案にすることが求められます。

全世代の暮らしに影響

物価が上がっても、賃金水準が下がれば年金を減額する―。安倍政権が「カット法案」に盛り込んだ柱の一つです。これは、物価が上がれば年金額を減らさないという現在のルールの大転換です。

物価と賃金の両方が上がっても、年金額を抑制する「マクロ経済スライド」の仕組みの強化も導入します。物価も賃金も上がらなかった年の「抑制分」は翌年以降に繰り越され、年金の目減りが続くことになります。 続きを読む

しんぶん赤旗日刊紙「主張」

1106dsc_2679-22016年11月17日(木)

主張

TPP参議院審議

発効の見込みなく推進の異常

アメリカ大統領選挙で環太平洋連携協定(TPP)に反対しているトランプ氏が当選し、オバマ現大統領も任期中の批准を断念したと伝えられる中で、TPPの発効が見通せない事態になったというのが衆目の一致するところです。にもかかわらず安倍晋三政権は、情勢の変化を無視してTPP承認案と関連法案の衆院での採決を強行し、参院でも審議を急いでいます。発効が見通せないTPP承認案と関連法案の批准を世論に逆らって急ぐのは、文字通り「世界の物笑いになる」ものです。

急ぐ理由はまったくない

TPPは日本、アメリカなど12カ国が参加する協定ですが、日本とともにアメリカが批准しなければ発効しない仕組みです。アメリカ大統領選の結果を受け、日本以外の参加国では協定への対応を見直すなどの動きが広がっています。安倍政権が期待していたオバマ政権下での批准がほぼなくなり、トランプ政権の発足は来年1月で、選挙中「離脱」とまで発言したトランプ氏の対応も不明な中で批准を急ぐ理由はありません。 続きを読む

しんぶん赤旗日刊紙「主張」

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2016年10月29日(土)

主張

国連で決議案採択

核兵器禁止条約の交渉開始へ

国連総会で軍縮問題を担当する第1委員会は27日、核兵器禁止条約などを交渉する会議を招集する決議案を123カ国の圧倒的多数の賛成で採択しました(反対は日本など38カ国、棄権は16カ国)。「核兵器のない世界」の実現への画期的な動きです。決議案は12月初旬、総会の採択にふされます。

扉ひらく歴史的な一歩に

決議案(「核軍備撤廃多国間交渉の前進」)は、「核兵器を禁止し、完全廃絶につながる法的拘束力のある措置を交渉するために、2017年に国連会議を招集する」としています。会議は、ニューヨークで開催されます。 続きを読む

しんぶん赤旗日刊紙「主張」

1019dsc_23192016年10月18日(火)

主張

新潟県知事選勝利

原発再稼働反対 民意に応えよ

東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市など)の再稼働を大争点にたたかわれた新潟県知事選で、再稼働反対を訴えた米山隆一氏が初当選を果たしました。安倍晋三政権と電力業界が再稼働への動きを加速する中で、市民と野党の統一候補としてたたかった米山氏が、自民・公明推薦候補に約6万票差で勝利したことは、柏崎刈羽原発の危険な再稼働は認められないとする県民の強固な意志を鮮明に示した重要な勝利です。安倍政権と電力会社は県民の審判を受け止め、柏崎刈羽原発をはじめ全国各地での再稼働を中止し、原発依存の姿勢をやめるべきです。

柏崎刈羽への批判鮮明

任期満了による知事選は、県民の暮らしや地域経済などが問われましたが、何といっても最大争点は、柏崎刈羽原発の再稼働でした。 続きを読む

しんぶん赤旗日刊紙「主張」

2016年9月29日(木)

主張

医療費の窓口払い

受診抑制を招く負担増やめよ

0928dsc_0408         安倍晋三政権の下で貧困と格差が広がり、経済的理由から必要な医療を受けられない人たちの問題が深刻化しています。医療機関の窓口で患者が支払う3~1割の自己負担の重さのため、具合が悪くても我慢して症状を悪化させる―。国民の健康を脅かす、この事態の打開こそ必要なのに、安倍政権は患者の窓口負担をさらに増やす方針の具体化を進めています。そんなことになれば、多くの国民が必要な医療から締め出され、健康破壊が広がるばかりです。医療を国民から遠ざける負担増を許さず、高すぎる窓口負担の軽減をすすめることこそ重要です。

高齢者から現役世代まで

安倍政権が参院選後、医療、介護、生活保護など社会保障のさまざまな分野で制度改悪の具体化を加速している中で、医療では窓口払いと保険料の負担増が大きな柱です。厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会では、その検討項目が示され、今年末に結論を出すとして議論が本格化しています。 続きを読む

しんぶん赤旗日刊紙の記事より

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(写真)そろってコールにこたえる4野党代表。左から福島、岡田、志位、木戸口の各氏=19日、国会正門前

19日、国会正門前では、4野党の代表が勢ぞろいし、スピーチしました。

日本共産党の志位和夫委員長は「野党と市民の共闘を、総選挙でさらに発展させて、安倍政権を倒し、新しい政治をみんなの手でつくろう」と力を込めました。

民進党の岡田克也前代表は「(戦争法を)廃止していくのが国会の仕事だ」と強調し、「市民を中核にして野党がみんなで協力して、次の総選挙もしっかりたたかい抜いていく」と決意を表明しました。

社民党の福島瑞穂副党首は「解釈改憲にも明文改憲にも反対」と訴え。参院岩手選挙区で野党統一候補として勝利した生活の党の木戸口英司議員は「東日本大震災のときに支えてくれた自衛隊が、戦争状態と言える南スーダンに送られる」と述べ、戦争法廃止を呼びかけました。下の写真は20日付けしんぶん赤旗日刊紙1面トップより。img_9113%e6%97%a5%e5%88%8a%e7%b4%99

しんぶん赤旗日刊紙の記事より

2016年8月31日(水)

令状なし盗撮 警察庁が公認

大分事件受け通達 反省せず

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(写真)警察庁が26日に出した通達文書

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大分県警別府署の署員が参院選の野党統一候補を支援する団体が入る建物敷地にビデオカメラを設置して市民を隠し撮りしていた事件で、警察庁が全国の警察に通達を出したことが30日、わかりました。通達文書からは全国の警察が法の手続きもなく警察の判断で自由に撮影できる実態が浮き彫りになってきました。

「捜査用カメラの適正な使用の徹底について」と題した通達は、26日に出されました。この日は、大分県警が盗撮事件の調査報告を発表し「謝罪」した日です。

「通達」は大分県警の事件について、無断で他人の敷地に入ったことは「国民の信頼を著しく損なう」とのべるものの、隠し撮りへの反省は一切ありません。

ビデオカメラの撮影について「通達」は「必要な範囲」と「相当な方法」でやれば、「任意捜査として許される」と強調。警察が“捜査”のため必要と判断すれば、裁判所の捜査令状がなくても撮影できることを前提とした内容です。

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(写真)大分県警別府署の隠しカメラが設置された斜面(左)から見た会館の玄関(奥右側)=大分県別府市

撮影の期間や場所などについても、制約を設けておらず、捜査幹部の判断任せになっています。

大分県警の事件では、選挙や労働組合活動のために出入りした犯罪と無関係の市民が隠し撮りされました。

「通達」には、こうした被害者への救済や、収集した画像の管理などについての指示もありません。すべて警察の判断に委ねるものとなっています。

一方で「カメラの設置又は土地等への立入については当該管理者の承諾を得ること」などと注意喚起。大分県警の事件を、他人の敷地に無断立ち入りしたことが問題の中心であるかのようにわい小化しています。

しんぶん赤旗日刊紙「主張」

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写真:井原市役所では終戦の日に半期を掲げています。                                           

2016年8月15日(月)

主張

戦後71年 敗戦の日

戦争反省欠落の改憲を許さず

アジア・太平洋戦争での日本の敗戦から、71年を迎えました。いまや「戦後生まれ」が圧倒的多数ですが、戦争の悲惨さを語り継ぎ、平和への決意を新たにする日です。7月の参院選で自民・公明など改憲勢力が参院でも改憲案の発議に必要な「3分の2」の議席を獲得し、改憲の動きがいっそう強まる中での「8・15」です。自民党の改憲案は、戦争への反省を全く欠落させているのが特徴です。戦争の惨禍を二度と繰り返さないため、戦後71年の「敗戦の日」を機に、日本を「戦争する国」に引きずり込む改憲を許さない決意を固めようではありませんか。

被害体験した国民の決意

日本が侵略した朝鮮半島や中国、アジア・太平洋の国々の深刻な被害、アメリカの原爆投下や空襲で壊滅させられた広島や長崎、東京などの大都市、国内で最大の地上戦が繰り広げられた沖縄の甚大な被害、中国大陸やアジアの植民地からの引き揚げの塗炭の苦しみ、戦後の生活難―。アジア・太平洋戦争の被害と国民の苦難はどんなに時間がたとうと消えてなくなるものではありません。 続きを読む